物語の最高頂は劇中劇? 2012/9

 物語を積極的に運用するとき、作家が一度は考えるだろう劇中劇の方法は、メタフィクションといってしまったら台無しになる。それは生涯に一度だけ、それもとっておきの作品にのみ導入するのがベストだと断言してもいいんじゃあなかろうか。それだけ特別だとわたしは考えている。

 これは、セルバンテス以来の古典的な方法であるうえ、名立たる文豪たちによっても使い古されている。が、それでも現代において然るべき使い方を踏まえればその威力は衰えない。ここでその例を挙げても仕方がない。名作として片付けられてしまうものばかりだからだ。