つまみ食い文芸誌 たまたま調子が悪くて

 ほんとうにひさしぶりに文芸誌を覗くと、去年のは震災関連のものばかりですぐに食欲がなくなった。文芸誌は当然つまらないという一般論自体を、新たな視点を加えて誰かが面白くしてくれないだろうか。好きな作家でなければ小説は名前だけ押さえる。時評や対談だけ読み飛ばしすことにしているけど、やっぱりつまみ食いで終わった。胃の調子が悪かった。

 島田雅彦本谷有希子綿矢りさ金原ひとみの対談は、もう、人に読ませる気があるように感じられない(笑)。二組とも、お互い遠く隔たった場所で自分に近いことを思いつくままに語る。たまたま会った、たまたま作家という職業の人たちが、唯一の接点である小説に関連するような(実際ほぼ関係ない)ことを、たんたんと、語ってる。アホか笑 これ、文芸誌だろうか。雑誌とか広告のほうがまだ空元気があるだけいい。


 愚痴っぽくなってよくないけど、ここまで言ったからついでに図書館でたまたま見かけた本の解説も毛無し太郎。タイトルは『志賀直哉天皇中野重治藤枝静男(講談社文芸文庫)

志賀直哉・天皇・中野重治 (講談社文芸文庫)

志賀直哉・天皇・中野重治 (講談社文芸文庫)

 なぜ講談社文芸文庫藤枝静男の随筆が入ったかはともかく、問題は解説。まあ小学生とはいわないけれども、高校生かなあ。
 以下、冒頭から引用

小説がほんとうに自由であることを、私は、藤枝静男を読むことで知った。

…ここには、『ほんとうのこと』しか書かれていないと思った。
私は人物に引き寄せて作品を考えることを好まないのだが、

アミノ酸やタンパク質が絶えず生き死にを繰り返して人体が保たれてあることを、よく見据えている人なのだろうと思う。

…私すらわからないという私への不信が、藤枝作品の根っこだと私は思う。…思う。…思う。…

 これだけじゃわからないけど、めんどうになってしまった。十代で「海のこころを知った」とかほざいた三島由紀夫みたいに一行目からかましてるけど、それだけの内容も文章もない。「好まない」の使い方、恥ずかしくないか?笑 くわえて「私は〜と思う」のバカみたいな連呼。なんか、ちょっと背伸びしたい中学生女子の無邪気な読書感想文みたい笑

 まえがき・あとがきなど本文以外で前置きが長いと、よく斜め読みになる。実作者に会っただの作者の経歴だのという本文に関係ない箇所だ。だいたい、(特にどうでもいい)前書きの長い文章は、編集による場合、作家に書くことがない、書きにくいからごまかす場合などいろんな理由があるみたいだけど、この解説なんかは後者に当てはまるのかなあ。ほんとうに、書くことがなかったんだろうなあ笑


////////////////////////////////////////
底が抜けて、上空には何も見えず、空中でプラプラ。大洋の水面に浮かんでいるのだ。遠くから見れば何か動いていて面白そうで、近くで見ると自分の手の内で何か一生懸命細々としたことをやっている滑稽な人々。